いちえ



隣に座る慶兄の反応が気になり、顔を上げる事ができない。


やっぱり、付き合っているんだし、慶兄だっていつでも結婚してもいい歳だと思う。



そう言う事、考えてたりするんだろうか。



いきなり落とされた美春の爆弾に、異常に反応してしまった。



お願いだからもう触れないでぇ!!



「もも照れすぎ」



そんな私の願いも虚しく、あっけなく瑠衣斗に声を掛けられてしまった。



んっとにコイツはタイミング悪い奴だなぁ〜!!!!



ジッと睨み付けてみるが、瑠衣斗はいやらしく笑みを浮かべたまま私を見下ろすだけだ。



既に美春と俊ちゃんは、みんなから声を掛けられながら退場してしまった後で、ザワザワと席を立つ音や話し声が聞こえる。


「う、うるさいっ」


「へいへい」



もぉ!!やめてよ!!


あんまり変に反応したら、本当に慶兄の事見れないじゃん。


下手に反発しても、慶兄にが嫌な気分になってしまいそうで……。



「もものウエディングドレス姿、見てみたいなあ」


「へぇっ?」



慶兄の、のんびりとしたようなのほほんとした声に、動揺して可笑しな返事をしてしまった。


「きっと、めちゃくちゃ綺麗なんだろうな」


「……ど、どうも」



ニッコリ笑って言う慶兄に、顔がカァッと熱くなっていく。



そうやってサラリと言ってしまう当たり、本気のようで反応し辛い。


「まじで照れすぎ」


「!?」



慶兄までそんな事言って〜!!
< 60 / 525 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop