いちえ
ひどい!!この兄弟私で遊んでるよ!!
「ぷりぷり怒んなよ」
「ぷりぷり!?」
何か前にも同じ事瑠衣斗に言われた気がするけど!?
「確かにぷりぷりだな」
「だからぷりぷりって!!」
それお母さんだから!!私じゃないっ。
お母さんが怒ると、よく弟が「ぷりぷりしてんなよ」なんて言っていたっけ。
慶兄にまでそんな事を言われ、瑠衣斗にはまた言われ、ふてくされたように視線を落とした。
手の中のブーケが、私の体温によって生ぬるくなっていく。
「本っ当におばさんソックリ」
「だな。ソックリだ」
「…は?」
おばさん?おばさんて……お母さん?
「親子だよなあ。初めて会った時、ビックリした」
「…ビックリ?」
瑠衣斗の言葉に、オウム返しで聞き返す。
私がお母さんにソックリ??
「どんなに嫌ってても、似ちまうんだよな。親子って」
「慶兄は親父ソックリだもん」
「似てない。黙れ」
嫌ってても。……確かに嫌ってたかもしれない。避けていたと思う。
「おばさんもおじさんも、ももの事大好きって感じだったもんなあ」
「そうそう」
慶兄の言葉に同意する瑠衣斗は、クスクスと笑う。
そんな訳ないじゃん…だってお母さんもお父さんも、私じゃなくて世間体しか見てなかったんだよ?
「おばさんとおじさんの片想いって感じだったけど」
優しく笑う瑠衣斗から、目が離せなかった。
胸がモヤモヤして、何ともいえない感覚をどうすればいいのか分からなかった。