いちえ



「………分かった」



後ろでキャアキャアと騒ぐ美春を、気にする余裕もない。



それって……どう………。



「深く考えんなよ?」


「えっ!?」



考えている事が顔に出ていたらしく、慶兄がニコニコと笑って私に釘を刺した。



深く考えちゃうに決まってんしゃん!?



「早く夏休み来ないかな♪こっないっかな♪」


「美春は夏休みみてえなモンだろう?しかも年中」


「いいのーっ!!」



何だかいろいろありそうだな……今年の夏休み…。



騒ぐ二人を、ただ唇を固く閉じて見ている事しかできない。



高鳴る鼓動は、どんな意味を表しているのだろうか。







今この時、この先の事が知れたなら。


知る事ができたなら………。



私はどうしただろうか。






もし知る事ができたとしても、やっぱり私には分からない。



自分がどうしたのかも、どうしたいのかも。






「もも〜?またぼーっとしてえ!!」



美春の笑顔すら、まともに見れなかった。
< 85 / 525 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop