いちえ
「………分かった」
後ろでキャアキャアと騒ぐ美春を、気にする余裕もない。
それって……どう………。
「深く考えんなよ?」
「えっ!?」
考えている事が顔に出ていたらしく、慶兄がニコニコと笑って私に釘を刺した。
深く考えちゃうに決まってんしゃん!?
「早く夏休み来ないかな♪こっないっかな♪」
「美春は夏休みみてえなモンだろう?しかも年中」
「いいのーっ!!」
何だかいろいろありそうだな……今年の夏休み…。
騒ぐ二人を、ただ唇を固く閉じて見ている事しかできない。
高鳴る鼓動は、どんな意味を表しているのだろうか。
今この時、この先の事が知れたなら。
知る事ができたなら………。
私はどうしただろうか。
もし知る事ができたとしても、やっぱり私には分からない。
自分がどうしたのかも、どうしたいのかも。
「もも〜?またぼーっとしてえ!!」
美春の笑顔すら、まともに見れなかった。