君への距離
ギャアギャア言いながらマサキの車に乗ったのは四人。


マサキ、アツシ、翼、そして無理矢理リョースケと交代させられた杏。



「…きもちわるっ」

後部座席でスコアブックに今日の先発メンバーを書き込んでいた杏が言った。



「吐くなよ!」
マサキが一喝した。


「うっ!!」



マサキがギョッとしてふりかえる。



「うっそ―♪」
杏がにやりと笑う。


「杏、女の子なんだから!そのノリはどうなんだぁ?」
アツシが呆れる。


「…ヤバいかなぁ?」
杏が微妙に空気を察する。



「まぁ、そういうとこがいいんじゃない?ねえ?」
マサキが杏にバレないように翼を横目で見る。



翼はシカト。





「マサキ…、まさか…あたしのこと!」


「っざけんなー!!俺は大人なお姉さまがいいんじゃボケ!!!」



みんながゲラゲラ笑った。



いつも通りの杏に、みんなの緊張はほぐれたようだった。





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