君への距離
翼は今までのように完璧な投球を見せ、本当に紫に染まったスタンドをしんと静まりかえさせていた。



(すごい…)

スコアブックの相手チームの欄に気持ちいいくらいにKが並んでいるのを見て杏が感心してため息をついた。




五回の時点で0-0。

名宝はヒットなし。
レッドのヒットは翼とカズさんに二本ずつ、アツシにも一本出ていた。どちらかといえばレッドペースの試合だった。




しかし点が入らない。

さすが名宝といったところか、ピッチャーも相当な実力だ。




タイムリミットが近づく。


翼の肩は七回までが限界だ。



翼に焦りがつのる…。







< 117 / 213 >

この作品をシェア

pagetop