君への距離

『ストラ―イクッ！！』


主審の声が静まりかえったグランドに響いている。

紫のスタンドはピクリとも動かない。

八回が終わろうとしていた。


逆にレッドベンチは盛り上がっていた。

スコアをつけている杏以外はみんな身を乗り出して試合を見守っていた。

守備についているメンバーも、翼の負担を少しでも軽くするためにファールを死ぬ気で追いかけたり、ファインプレ―を連発していた。



「すごい…、また三球三振！」
ピッチャーの光さんと純さんがアップをしなが感嘆の声をあげた。

純さん、
「今日俺らの出番ねえかもな！」


光さん、
「そうだな！次、翼のためにも絶対点とるぞ―！！」