君への距離
カキーン!!




波のうねりのような大歓声…




ハッと目を見開く翼と杏。





白球はグングンと紫の波へと吸い込まれていく。





「そんな…」


唖然とする翼…。弱々しく声が漏れた。




杏は涙が溢れて止まらず、慌てて少し大きなケンちゃんの帽子を目深にかぶって隠した。






名宝ナインたちがベンチから飛び出し、ホームでホームランを打った選手を待ち構えている。




両手をあげて一周し、ホームベースを踏んだ瞬間、みんなから手荒い祝福をうけ、その選手の体が宙を舞う。






名宝のサヨナラ勝ちだった…。





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