君への距離
看護婦さんに車イスを押されて翼が出てきた。


「すいません…」

翼は看護婦さんに頭を下げる。


「あの子たちよね?」

看護婦さんが杏と原田さんの方を見て言った。



「はい。」



「見たら分かるわ!真っ赤なユニフォーム着て、あんな元気そうな患者さんいないもの!」



杏のことだろう。

看護婦さんはクスクス笑った。



「翼。」

原田さんが翼の近くにやって来た。

「翼くん!」
杏も駆け寄る。


「とりあえず2ヶ月は野球出来ないみたいです。」
翼が言った。

「2ヶ月…」
杏は残念そうにつぶやく。



「ちょっと、ちょっと~!2ヶ月安静が守れないんなら入院してもらうわよ!!」
看護婦さんがケラケラ笑う。



杏、
「入院っ!?」



「一生野球できなくなることと比べたら2ヶ月なんてあっという間よ!ねえ?」



「は、はあ…」

看護婦さんのパワーにおされ、翼はしょうがなく素直にうなづいた。




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