君への距離
杏と翼は原田さんの車を見送ると、少しだけ静かな空気が流れた。
もう辺りは薄暗くなっていた。






「…ごめんね。」

ふいに翼が言った。



「え?」



「全国、連れていくってあんだけ言ってたのに、

かっこわるいな…。」

翼は苦笑いをしてうつむく。



杏は優しく微笑む。


「すっごくかっこよかったよ!


レッドが県大会2位っていうのだって夢みたいにうれしいもん!!

翼くん、ありがとうございましたっ!!」


杏は頭を下げた。



翼に笑顔が戻る。




「さっ、みんなのとこ行こう!!きっと沈んで大変なことになってるから!」



「うん!」







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