君への距離
「やめろよ!気持ち悪いなあ…」
翼が大げさに驚いてみせた。



「…みんなぁ!!」
杏がボロボロ泣き出した。

みんながギョッとして慌てだす。
「ちょっ!誰だよ~、杏泣かしたの!!」


リョースケがチラッと翼を見る。


翼は慌てて首をふる。


シオ、
「杏チャン?」



杏、
「みんなはよく頑張ったよぅ…だから誰も悪くないんだよっ!」



アツシ、
「杏~!!」


マサキ、
「杏も頑張ってたもんなぁ?」


シオ、
「よしよし♪泣かないで~!」


リョースケ、
「杏、たまにはかわいいとこあるじゃん!!」



みんなが杏に抱きついた。


「おいっ!」

リョースケが小声で入口でつっ立っている翼を呼ぶ。



翼が近づくと、アツシが腕をまわして巻き込んだ。



みんなでギュウギュウ抱き合う。



翼以外はわんわん泣き出した。


そして、しばらくするとみんなゲラゲラと笑い出した。





翼は笑顔の輪の中で思った。


(とびきり強いチームでも、


すごい実力者がいるチームでもない、

でも…




僕はこのチームで全国へいきたい。



このチームで野球がしたい!!)






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