君への距離
「でも何でいきなり入る気になったの?」
3杯目のカレーを頬張りながらリョースケが言った。




「えっ…と」

翼はチラッと杏を見る。

杏は照れたようにうつむいた。




マサキ、
「え?何この空気!杏が何かしたん?」


リョースケ、
「杏ちゃ―ん、ちょっと話聞かせてもらおうかぁ?」


ふたりはにやにやしながら杏を見ている。


「……一緒に全国目指そって言っただけだよ?」

杏が照れながら言った。



翼も申し訳なさそうに言った。      
「今朝偶然杏ちゃんと会ってさ、そんとき全国目指してるって聞いて…。」




「それ俺らも言ってたじゃ―ん!」
リョースケのニヤニヤはもう止まらない。



「翼ぁ―!真っ赤やぞ―!!」
マサキが翼を小突く。


「あっ、マサキおかわりいるでしょ?ついでくる!!」

杏は逃げるようにキッチンへ出ていった。







恥ずかしかった。

すっごく恥ずかしかった。




でも、

その100万倍くらいうれしかった。




(今日はいろいろいろなことがありすぎて、まだ全然ついていけてないけど…)




(これだけは分かる)




(あたし、

翼くんのこと…)





マサキのお皿にあふれんばかりのカレーを注ぎながら、



杏はこの想いを噛み締めた。





(翼くんのこと、

すっごくすっごく大好きだあ…)



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