君への距離
沈黙を乗せて、マサキの運転する車は雨の中を大森病院へと走っていた。




助手席の杏は今にも泣きだしそうだ。


後ろの4人も黙りこくっていた。





みんなさっきのアツシの言葉にショックを受けたようだった。



「あいつ、原付でトラックと衝突したらしい…。


ガソスタであいつバイトしてたじゃん?


バイト終わって帰るとこだったみたい…。」




マサキ、
「トラックって!あいつ大丈夫なのかよ?」


翼、
「ケンイチの容体はどうなのかとか聞いてない?」



アツシ、
「意識ないって…」



リョースケ、
「死ぬなんてことないよな?」



杏、
「やめてよ!!ケンちゃんは…大丈夫だよ」








車内は重苦しい沈黙で満ちていた。





雨はより一層激しさを増し、車窓を叩き割らんばかりに打ち付けていた。




< 28 / 213 >

この作品をシェア

pagetop