君への距離
アツシはヒットで気をよくしたのかその後もしっかりと翼をリードしていった。



気付けば試合は八回まで終わっていた。




新人戦ではケガをした肩を心配して七回までだったけれど、今日はカズさんは翼の続投を決めていた。


現に翼もこのままいける気がしていた。






その場にいた誰もが勝利を確信していた。









レッドにとって格上の相手のはずだった。

それは十分分かっていた。



でも、


何故だろう?みんな怖くなかった。




もちろん、翼も。



(僕の球が打てるわけがねえ!)




あの頃の自信が戻りつつあった。







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