君への距離
相手ベンチ、観客たちがざわついた。
杏も立ち上がって翼を見つめていた。




内野を守っていたタクさん、ヨースケさん、リョースケ、マサキも翼のもとへ集まってきた。




センターのカズさんが走ってきて審判にピッチャー交代を告げた。





「翼!大丈夫か?」
リョースケが翼と目線を合わせるようにしゃがんだ。



翼がぼそっと何かを言った。




「ん?」
リョースケが耳を近づける。


「……なさけねぇ」





リョースケは翼を抱きかかえるように立ち上がった。

「十分だっつ―の!」
リョースケは自分の肩をかすと翼の左側にまわり、しっかりと支えながらベンチに向かって歩きはじめた。








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