君への距離
「杏、氷ある?」
リョースケが翼をベンチに右腕を上にして横たえさせながら言った。



「氷ある!スプレーもあるけど…」



「あっ、スプレーがいいな!!」


「リョースケ試合始まるよ!行ってこ―い!!」



「へ―い。翼、すぐ終わらせてやるからな!」

そう言ってリョースケはグランドへ出ていった。








翼はグランドに背を向けるように横たわっていた。

ちぎれそうな肩の痛みは、鼓動に合わせて翼を襲う。


ドクンドクン


(くっそ…)

翼は痛む肩をおさえながら自分のもろさに怒っていた。







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