君への距離
「翼くん?」

杏が優しく声をかけた。

「冷やしてもいいかな?…あっ、触らないほうがいい?」



翼が杏の方を向こうとした。
「あっ、そのままでいいよ!!」



「…平気だから」

翼が言った。


杏はちょっとショックだった。

(ウザかったかな?)



「でも…」
杏はコールドスプレーを持ったまま立ち尽くしていた。



「本当に大丈夫だから…」



杏は返す言葉もなく黙りこんだ。




相手がアツシやシオたちなら…


何言ってんの!って強引にでもスプレーして、


ちゃんと冷やさなきゃだめでしょって叱りつけたり…








< 60 / 213 >

この作品をシェア

pagetop