君への距離
プレイボール!





試合が始まった。


全国への切符がいよいよ見えてきた、

準々決勝。







「先発はいつものように翼だ!それでいつものように七回まで!それまでにいかに多くの点をとるかがこの試合のポイントだ!!」

カズさんが試合前にみんなを集めて話した。
「いいか、翼?ちょっとでも肩ヘンだと思ったら言うんだぞ!」






今日も翼は素晴らしい投球で試合を作っていた。




六回まで終わって5-0。

レッドはカズさんが言った通り大量リードで勝っていた。





今日は原田さんと山下さんが試合を見にきていた。


(これが、本当にレッドか?)
山下さんは目を疑った。


「ひょっとしたらひょっとするかもしれないな!」

原田さんはにこやかに言った。



「全国?」
山下さんもニヤニヤしている。


「翼が入ったことで、守備力はもちろん、攻撃力も格段によくなったし…」


「ああ。みんなも刺激されたみたいだしな!特に…」

二人は顔を見合わせた。
『アツシ!!』




アツシは翼とバッテリーを組んで大きく変わった。


見た目もひとまわり大きくなった。

翼の球を受けるために相当鍛えたそうだ。



体ができれば自然にバッティングの調子もよくなる。

もともとセンスがある選手だったが最近のアツシの成長は誰から見ても明らかだった。






いつものように七回で翼はマウンドを降りた。

きっちりと最後をしめて危なげなく試合はレッドの勝利で幕を閉じた。



相手が悔しいがる隙もないほどの圧勝だった。




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