君への距離
第2話

苦悩

あの日から、翼は何度も同じ夢を見ていた。




《360度の大歓声が僕を包んでいる、



ここは甲子園か…?



ベンチには今にも飛び出して来そうなチームメイトたち、



誰だろう?


顔の辺りがぼんやりとしていて分からない。



ただ、分かるのは…


膝にスコアブックを置いて、胸の前で祈るように手を組んでいるあのマネージャーの子の姿、



黒目がちな大きな目がまっすぐに僕を見つめていた。




僕はグローブの中でボールを握りなおす、


そして振り被った…》





いつもここで目が覚めた。


翼はモヤモヤした思いを抱えたまま、しばらく布団から起き上がることができなかった。





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