良と遼〜同じ名前の彼氏〜
「やばい。補導される」


あたしは慌てて顔を隠すと、駅の反対側に走った。


表通りを一本裏に入ると途端に人通りが減る。


髪の毛を派手に盛り、黒いロングダウンに身を包んだキャバ嬢と目が合った。


千鳥足のおやじとも目が合った。


あたしは走る。


足音と自分の呼吸がやけに大きく聞こえる。


路地をぬけて、ガードに向かう。


ガードの下をくぐれば駅の反対口に行ける。
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