良と遼〜同じ名前の彼氏〜
声の方を振り替えると、そこには優しそうな顔をした、同い年位の男の人が立っていた。
黒いダウンジャケットの下はダボダボのジーパン。ぶら下がったがチェーンがジャラッと音をたてる。


「やめとけよ」


「うるせえよ」


「手はなせって。この子痛えだろうがよ」


あたしの肩をつかんでいた手がするっとはなれ、
ジンジンした感覚があたしの肩に残る。


「邪魔してんなよコラ。アァ?」


二重の目がつり上がり、眉間に深いシワが出来る。


「女の子にする扱いじゃねぇだろ」


頑張れ!
あたしはビビりながらも、なんだか姫になった気分になってきた。

こんなドラマみたいな展開があたしにも用意されていたなんて。


「つーかお前よぉ、なんでそうやってすぐかっこつけたがるの?」


ん?


「あのなぁユウジ、女はもっと優しく口説くの。」


「うっせぇよ。しょうちゃんてすぐ良い人ぶるよな」


は?これはひょっとして…


「ねぇこれからどこ行くの?寒くない?
カラオケ行かない?
友達つれてきてよ。」


最悪だ。
まさかの仲間だった展開とは。


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