良と遼〜同じ名前の彼氏〜
チャイムの音がした。


サトちゃん、忘れ物かな。
ひじきの煮物の作り方を復習していたあたしは、レシピを手帳に戻す。


「は〜い」


手帳をテーブルの上に置いて、あたしは部屋をでた。


玄関を開けた瞬間あたしは思わず固まった。


そこには日本人形みたいなサトちゃんとは正反対の、目つきの鋭いギャルが立っていた。


濃すぎるアイメイクがギラギラした視線を一層際だたせている。


うちのクラスのギャル達を総動員しても、彼女より派手でキツい顔の子はいないだろう。


「智也君の彼女さんですか?」


ギャルはあたしを一瞥すると、しゃがれた声で言った。


「違います」


途端にギャルの目がつり上がる。ただでさえキツい目がつり上がるから、獣のようだ。


「は?遼平関係?」


「そうだけど」


「じゃあ美弥が来たから出てってくんねぇかな。
つーかさぁ、なんで勝手に一人で上がり込んでんのお前?
常識ねぇなぁ。迷惑なんだけど」


美弥というそのギャルは、腕をくんで一方的にまくし立てる。


普通に怖い。美弥の迫力に圧倒されながらも、あたしは負けたくなかった。


「帰れない。朝遼平がカレー作って待っててって言った」


「はぁ?」


美弥の眉間に深いシワがよった。
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