良と遼〜同じ名前の彼氏〜
再び一人きりになった部屋で、あたしはしばらく固い床に貼りついたままだった。


呼吸は乱れたまま、治まる気配を見せない。

悔しくて涙が溢れる。

こみ上げる吐き気を我慢して、あたしはのろのろ立ち上がった。


先に言ってよ。
彼女がいるって。

そしたらあたしすぐ帰ったのに。

泊まったりなんかしなかったのに。

夢なんか見なかったのに。

遼平の彼女になりたいなんて、最初から思わなかったのに。
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