良と遼〜同じ名前の彼氏〜
「びっくりしちゃったよ。公園に来たけど奈美ちゃん来なくて、諦めかけてたら奈美ちゃんにそっくりの女の子が駆け込んできてさ」


そう言いながら良ちゃんは興奮しているみたいだ。ゼスチャーが大きくなるから、傘が左右に大きく揺れている。


「そんな髪の毛してるから最初分からなかったよ。どうやら必死に誰かを探してたから声かけようか迷ってたんだけど、そしたら俺の名前叫ぶんだもん。俺、正直嬉しくて…」


そっか。あたしは一瞬忘れてたみたいだ。
良ちゃんの名前も遼平と同じだったっけ。


いや、違う違う。良ちゃんはだいぶ都合よく誤解してしまっている。

これじゃあたしが良ちゃんに会いたくて急いで公園に来たみたいじゃん。


良ちゃん、誤解だよ。


あたしが口を開きかけた次の瞬間、また背後でガサッと音がした。


今度こそ聞き間違いじゃない。あたしは勢いよく後ろを振り返った。
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