良と遼〜同じ名前の彼氏〜
「母ちゃんな、浜松の実家で婆ちゃんと二人でいたみてえなんだよ。
そんで婆ちゃん死んだから、また俺達と一緒に暮らしたいって言ってきやがってよ」


そう話しながら煙草の煙を吐き出す遼平の横顔は、笑っているような、怒っているような、呆れているような、そんな複雑な表情をしていた。




「じゃあ俺、ちょっと母ちゃん迎えに行ってくるな」

東海道新幹線の改札の前まで来ると、遼平はあたしの頭をぐりぐり撫でた。


「俺がいなくても泣くなよ」


「子供扱いするなっ」


そう言って遼平を見上げた瞬間、あたしの唇に何かが触れた。
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