もう泣かないで
どうやって家まで帰ったのか覚えていない。



玄関にすぶ濡れで立っている私を見て、



祖母がタオルを持って来てくれた。



母は看護士なのでほとんど家にはいない。



母は看護士の仕事を続ける為に、



自分の親との同居を望んだ。


父も最初からその事を承知して結婚をした。



祖父母とは父の方が仲が良いのではないかと、思うくらいだ。



父は公務員だから、土日は家にいるが、



母は夜勤もあるし土日もちろん、



お正月もお盆も家にいた事がない。



でも私が一度も寂しい思いをしなかったのは、



祖母がいつも母の代わりをしてくれたからだ。



祖母は私の濡れた体を、タオルで優しく包んでくれた。


< 12 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop