【短】コロコロバス【怖い話】




「ん……? 動物か?」
「お客さん、酔ってますねー? このバスに動物なんて乗ってませんよ」

運転手さんが笑う。

なるほど、バスの床を見てみても、何もいない。

僕は、一瞬「コロコロした物」の話を思い出したが、気のせいだろう。



バスは次の停留所、『上長寺前』に止まった。

僕は、まだ先なので、携帯をいじっていたのだが、

「あれ、押しませんでしたか?」

と運転手さんに聞かれた。

「押してませんけど?」
「あれ、おかしいな……。じゃあ、出発しますね」


結局、その日は僕は家に着くなり、眠ってしまった。
< 5 / 16 >

この作品をシェア

pagetop