記憶のカケラ

「ま、今は夏休みだし、9月まで葵は自由気ままってわけ。あー羨まし〜っ」

唯花はそう言って、頬杖をつきながら横目で外を眺める。

………あ。
なんか今、唯花が知らない人に見えた気がした……。
やっぱり…、4年間ちゃんと成長してる人と、ずっと眠ってる人とじゃ、大分変わってきちゃうのかな……。
………って、今はそんな話じゃないでしょ、私っ!
あーもうっ、何でこういっぱい考え事しちゃうかなぁ…。
もしかして、成長してないってこと!?
…いやいや。そんなことはない筈。
確かに4年間ずっと点滴で栄養とってたけど…、さすがに少しくらい、脳みそは成長してるでしょっ?

………うーん。
わかんないや……。

「……1人の世界は楽しかった〜?」

気がつくと、唯花はクスクスと笑い、お母さんまでもが苦笑いしていた。

私……恥ずかしっ!!


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