記憶のカケラ
「功くんって、先生になれるんじゃないかしら?」
お茶を入れ終わり、再びソファーに座ったお母さんが、ニコニコしながらそう言った。
「いぇ……そんなことないですよ」
「そうかしら?十分才能はあると思うんだけど……」
「習ったところを教えているだけですから、そんなことありませんよ。それに、葵だって勉強が遅れてるだけで、教えれないわけじゃないんですし……」
「そうかしらねぇ〜」
2人はなんだか楽しそうに話しているけれど……。
なんでこんなに仲がいいんだろう?
お母さんが若いせい……?
……って、そんなわけないじゃん。
その光景を見ていると、お母さんがボーッとしている私に気が付いた。
「あらやだ。私ったらつい喋りすぎちゃって……」
そう言うと、お母さんは体制をテレビの方に向け、功くんとの会話を終わらせた。