私心*君心*恋心*愛心
「バーカ!」


「アーホ!」


「チビ!」


「な、何を!男おんな!」

これが、俺の毎日の日課となっている会話。


その相手は小学校からずっと学校もクラスも一緒のマリン。


前髪を噴水のように結んでスカートの下には運動着のハーフパンツを履いている。


名前はかわいいのにやる事なす事全て男っぽい。


「ホントは好きなんだろ?お子ちゃまなんだから、アユムくんは!」


「んなわけねーだろ!あんな男おんな!」


ダチのシンがからかってくる。


マジ、ありえねぇつーの!

今は文化祭が近い事もあって、放課後は準備に追われている。


俺のクラスは執事&メイド喫茶をするので今日は女子の衣装合わせをしている。

「ねぇ、かわいくない?」

「うん、かわいい♪」


女子はメイド服を着て、お互い見せ合って騒いでいる。


「ほら~、すごく似合っててかわいいから!」


「絶対ムリ!」


教室の入口で押し問答をしている奴らが視界に入ってきた。


それに気付いた他の女子達が入口に近付くと…


「すっごいかわいいよ!」

「ホントだ!かわい~♪」

無理矢理、教室に入れられた人物を見たみんなの驚いた声が耳に入ってくる。


『「「マリン!?」」』


「マジ?かわいいな!」


「ホント、似合ってるよ!」


その声に振り返ると、そこにはいつもの噴水頭じゃなく、化粧をして巻き髪ヘアにメイド服を着たマリンがいた。


あれがマリン!?


みんなに囲まれて恥ずかしそうにしているマリンと目が合った。


―ドキン


今まで見たことがないマリンの姿に胸が高鳴った。


なんだ…この気持ち?


マリンを見たまま固まっている俺にシンが話しかけてきた。


「今、マリンに見とれていただろ?」


「ち、ちげーよ!んなわけねーだろ!」


ただ、今までとマリンが違うから…


あれから、毎日の日課は変わらずで…ただ変わったのは俺の気持ち。


あの日からマリンの事が気になってる。


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