私心*君心*恋心*愛心
どうしよう、ここを通らないとミナちゃんちに行けないんだよね。


アイツに会ったら…どうしよう。


アイツとは…元カレ。


親友のミナちゃんちの3軒隣にアイツの家がある。


今時間なら、たぶん…まだ帰ってきてないはずだから大丈夫…


ドキドキしながら、足早にアイツの家の前を通りすぎる。


何もなかった事にホッと胸を撫で下ろした、その時…

「チィ?」


後ろから声をかけられ、ビクン体が跳びはねた。


恐る恐る振り返ると、そこにはアイツが少し驚いた顔をして立っていた。


そして、その隣には小さくてかわいい女の子が立っている。


「ひ、久しぶり…」


「あぁ、久しぶり。」


ぎこちない会話に胸が苦しくかった。


アイツと別れて1年は過ぎている。


別れの原因はアイツの浮気。


その事でケンカ別れして、アイツを避けて今日まで1度も顔を合わす事はなかったのに…


今日に限って会っちゃうなんて!


アイツの隣にいる女の子が〝あの人誰?″と上目遣いで訴えている。


アイツは優しい顔で女の子の頭をポンポン叩いている。


その様子に胸がチクンと痛み、ふと目を逸らした。


「じゃあね…」


その場から逃げ出したくてそう言い残し、ミナちゃんちに向かった。


××××××××××××××


あの日からアイツと顔を合わせたくなくて、ミナちゃんとは外で会うようにしていた。


でも、ミナちゃんちに行かなければならない日がやって来てしまった。


今日はどうかアイツと会いませんように!


念じながら、アイツの家の前を足早に通りすぎる。


はぁ…よかった、今日は会わなかったぁ…


ホッと胸を撫で下ろした、その時…


「チィ…」


その声にバッと後ろを振り向いた。


そこには、切ない瞳で私を見ているアイツが立っていた。


どうして…そんな瞳で見るの?


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