月に問う
「銀河、今日の放課後ヒマだよな?Y女のお嬢様達と合コンあるんだけど、行かねぇ?」




目の前の席に座っている慧心(ケイシン)が振り返り話しかけて来た。




『合コン?あぁ…わりぃ、放課後は岩井チャンに呼ばれてるからムリ…。』




机に伏せていた体を起こし、慧心を見て答えた。




「えーっ!Y女だぞ!お嬢様達みんな、銀河に会いたがってるのにっ!岩井チャンの方はドタキャンしろよ!」


『マジ、今日はダメなんだ…。俺がいなくても慧心がいれば充分だろ?』




そんなぁ!って顔をしている慧心に構わず、また机に伏せながら答えた。




慧心は中学からの付き合いで最近彼女と別れたばかりらしく、合コンの鬼になってる。




黙っていれば、かっこいい奴なのに喋るとバカ丸出し…。




その後も慧心は諦め着かず、しつこく誘って来た。




『慧心…。』


「行く気になった?」


『ウザイ…。』




机に顔を伏せたまま、冷たく言うと「銀チャン、ひどい!」と言いながら、しぶしぶ諦めてくれた。




「あれぇ?ケイ、どうしたの?あーっ、わかったぁ!銀にフラれたんだぁ?」




頭の上で女の甲高い声が聞こえてきたので、伏せていた顔を少し上げ、女を見た。


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