月に問う
慧心は立ち上がり、俺を見下ろすと肩をポンポン叩き…




「だったら、きちんと自分の気持ちを伝えろよなっ!俺…そろそろ、帰るわ。じゃあなっ!」




そう言って手をひらひらさせ、部屋を出て行ってしまった。




俺はまたベッドに横になり、窓の外を見上げると空は薄暗く雲の隙間から丸い月が見下ろしていた。




『お前もやっぱ、何もしないまま諦めるよりもきちんと美月チャンの口から聞いた方がいいと思うか?』




月を見ながら呟いてみた。




きちんと自分の気持ちをぶつけた方がいいよな?




どんな答えが出ても納得出来るはず…




そんな時…




ーコンコン




また、ドアをノックする音が聞こえ来た。




慧心が忘れ物を取りに来たものだと思い、背を向けたまま話しかけた。




『忘れ物でもしたのか?なぁ、慧心…?俺、美月チャンにきちんと櫂斗サンとの事聞いてみるよ。もし、それが真実でも…自分の気持ち伝えて、すっぱり諦めるよ…。』




慧心に話しかけても返事はなかったが…




「櫂斗?なんの事…?」




突然、聞こえて来た声にゆっくり振り返ると…




そこには愛しいあの子…




美月チャンが立ったままこっちをまっすぐ見つめていた。


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