月に問う
ー放課後ー




コンコン




『失礼しま〜す』




俺はある部屋をノックして中に入って行った。




「おぉ、来たな…。」




そう言った男はこちらを見ずにタバコを加え、少し散らかった部屋を片付けながら言う。




なんだよ…




準備室の片付けを手伝えって言うわりにはキレイじゃん!




『岩井チャン…、準備室の片付け手伝えって言うわりにはキレイじゃね?俺、必要ねぇじゃん!』


「あぁ?片付けは口実だよ…。お前といろいろと話したくてなっ!」




そう言って岩井チャンはニカッと笑った。




何か企んでるな…




岩井チャンは俺達の担任で地理を教えていて、先生の中で1番若い25歳。




そして、昔俺の家庭教師をしていたんだ。




『いろいろ話って…?俺は何も話す事ねぇから帰る。』




バカバカしいと思い準備室を出ようとした時だった。




「なぁ、銀河…、お前さぁ…ちゃんと恋愛してるか?」


『はぁ!?なっ…なんだよ、いきなり!』




岩井チャンの言葉にズキッと胸が痛むのと同時にびっくりして、肩に掛けていたバックが大きな音を立てて床に落ちてしまった。


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