月に問う
今の俺は目を見開き、びっくりした顔をしていると思う。




『…えっ?美月チャン?なんでここにいんの?』


「慧心クンにお願いして連れて来てもらったの…。」


『櫂斗サンと付き合ってんだろ?俺と一緒に居たら、櫂斗サンに誤解されんじゃね?』




ホントはこんな事言いたいわけじゃないのに…




心に思っていない事を言い、顔を逸らすと美月チャンはまた話し始めた。




「誤解されたっていい!私ね…、櫂斗と付き合ってたよ。でも、それは中3の時の事で…。今は何とも思ってないし…。私、他に好きな人いるから!」




初めて美月チャンが感情的に話をする姿にびっくりして、もう一度美月チャンを見てみると…




ドキッとしてしまった。




瞳いっぱいに涙を溜めて、俺をまっすぐ見めていた。




その姿がすげぇ、愛おしくて…




ゆっくり立ち上がり、美月チャンを見つめ返すと…




「私が好きな人は…ぎっ…」




美月チャンの言葉を遮り、とっさに自分の腕の中に閉じ込めた。




「ぎっ、銀河クン!?」




突然抱きしめられた美月チャンはびっくりして、声が裏返っている。




やっぱり、櫂斗サンにも…




誰にも渡したくない。


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