月に問う
『おっはよ~ん♪』




いつものようにみんなにあいさつをしながら、教室に向かう廊下で結城の後ろ姿を見掛けた。




あっ…




あの時とは別人でやっぱりいつもの無愛想な女。




でも、サラサラの髪をなびかせ、凜とした後ろ姿は綺麗で足を止めて見とれてしまった。




結城の周りだけ、澄んだ空気が流れてるように思えた。




廊下の真ん中に立ち止まって見とれていると…




―バシッ




『い…って~!』




突然、頭頂部に痛みが走る。




頭を抑えながら、振り返ると銀河が俺の顔をジーッと見ていた。




『何すんだよ!』


「邪魔。」




冷たく言い放つと結城がいた方に視線をやり、また俺を見た。




『なっ、なんだよ!』


「いや、別に。」




銀河は意味あり気な表情で俺を見つめると何も言わず、教室へと向かった。




なんだよ、銀河の奴!




言いたい事があるんだったら、はっきり言いやがれ!



窓際の自分の席に着くと頬杖を付き、ぼんやりと窓の外を眺めていた。


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