月に問う
―ガバッ




『…えっ?夢…?』




勢い良く体を起こし周りを見渡すと誰もいず、教室には俺ひとりだけだった。




髪を触られた感触がリアルに残っているように感じた。




どこかで聞いたことがあるような、ないような声だった。




あれって夢だったのかな?



でも、あの時触られた感触があったんだけどな。




あの声は誰だったんだろ?



アイツ…結城の声に似てたような…




絶対にありえねぇな!




アイツが夢に出てきたら、心地よく寝れねぇじゃん!




それに、彼氏以外の男に無愛想なのに、あんな風に優しく話すはずがない。




そう思いながら、自分の髪に触れてみた。




一体誰だったんだろ…




薄暗くなった空の下、家までの帰り道を歩いていた。



ふと足を止めて、夜空を見上げてみた。




そこには、丸く明るく輝いている月が俺を照らしていた。




やっぱり、キレイだな…満月は。


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