月に問う
「その女に初めて会った時は全然タイプじゃないし、こんな奴、好きにならないって思ってたんだけどさぁ……そいつの笑った顔がかわいくて、ドキッとしちまったんだ。今まで女にドキッとした事なんてなかったのにさぁ…。こんな気持ちになるのなんて初めてだったよ。いつの間にか惹かれて行ったんだ。」




ハハッと小さく笑った岩井チャンは照れ臭そうな顔をしていて、俺には当時の岩井チャンを思い出させてくれたような気がした。




その表情はあまりにも優し過ぎて、夕日が照らす横顔がますます大人の男を強調させるせいか、俺まで照れ臭くなってしまった。




『その人とは…?』


「あぁ…そいつとは……
今も付き合ってるよ。って言うか…近々、奥サンになる予定なんだ。」




岩井チャンの言葉を耳にした瞬間びっくりして、目を見開き岩井チャンを見ると、こっちを見てニカッと笑っていた。




『えっ、えーーーっ!?もしかして、咲織(サオリ)サン!?』




咲織サンは岩井チャンがずっと付き合ってる彼女で何度か会った事はあった。




ふわふわした感じのかわいらしい人で、岩井チャンをいつも陰ながら支えているから今の岩井チャンがあるんだろうなぁ。


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