‥伝えたいコトバ‥
中学三年生の秋、学校帰りに津田じいと奈々ちゃんを見掛けた。
『よお、なあ今帰りかあ〜』
と孫の手を引きながらこちらに来る津田じいに、友達は
『おじいちゃん?』
と聞いてきた。
『ううん、店の常連さん。』
お店のお客さんと言った手前『津田じい』と呼ぶのが恥ずかしくて
『津田さん、こんばんわ。』
不意に出た言葉だった。
津田じいが一瞬少し寂しそうな顔をしたように思えた。
『おう。また背が高くなったみてえだなあ〜』
『え〜?変わってないよ!』
『いつの間にか大きくなって。俺も年取るわけだ〜』
『じゃあ大将によろしく!』
大将とは父のこと。
背を向けて夕焼けに向かって孫と歩く津田じいの背中は昔よりずっと小さくて、頼りなくて驚いた。
大きく見えたあの背中は、いつからあんなに曲がってしまったんだろう。
転んで泣きじゃくる私をおぶって帰ってくれたこともあったあの背中。
夕焼け色に染まる空を眺めて、
『もう泣くな。じーちゃんがついてっから。なあは強い子だ。
あんなに綺麗な夕日を涙で滲ませてどーする!笑って今日が終わったら明日もまた笑えんだ!』
この言葉に何度も励まされた。
もう遠い昔になってしまったね。
『よお、なあ今帰りかあ〜』
と孫の手を引きながらこちらに来る津田じいに、友達は
『おじいちゃん?』
と聞いてきた。
『ううん、店の常連さん。』
お店のお客さんと言った手前『津田じい』と呼ぶのが恥ずかしくて
『津田さん、こんばんわ。』
不意に出た言葉だった。
津田じいが一瞬少し寂しそうな顔をしたように思えた。
『おう。また背が高くなったみてえだなあ〜』
『え〜?変わってないよ!』
『いつの間にか大きくなって。俺も年取るわけだ〜』
『じゃあ大将によろしく!』
大将とは父のこと。
背を向けて夕焼けに向かって孫と歩く津田じいの背中は昔よりずっと小さくて、頼りなくて驚いた。
大きく見えたあの背中は、いつからあんなに曲がってしまったんだろう。
転んで泣きじゃくる私をおぶって帰ってくれたこともあったあの背中。
夕焼け色に染まる空を眺めて、
『もう泣くな。じーちゃんがついてっから。なあは強い子だ。
あんなに綺麗な夕日を涙で滲ませてどーする!笑って今日が終わったら明日もまた笑えんだ!』
この言葉に何度も励まされた。
もう遠い昔になってしまったね。