‥伝えたいコトバ‥
こんなこともあった。

夏休み、あまり休みのない両親に遠出をしたいと言った私の願いを叶えてくれたのは津田じいだった。


親友の愛も誘い三人で電車を乗り継いで海にいった。


初めての潮干狩りがあまりに楽しくて、毎日書くことに困った日記はその日だけびっしりと丁寧な字で埋め尽くされ、色えんぴつできれいに彩られた絵を見れば、どれだけその日が楽しかったのかがよく汲みとれた。


それからと言うもの津田じいに会っては
『また潮干狩り行こうね!』

と言う私に両親もたじたじだった。


あの時見つけた綺麗な貝で作った写真タテ、津田じいがちゃんとニスも塗ってしてくれたから、今も綺麗なまま残ってるよ。


中には三つの笑顔が今もあって、写真が色褪せて時の経過を感じるけど、私の中ではちっとも色褪せてなんかいないんだ。


この写真を見るたび津田じいを思い出しては懐かしくなり、切なくなった。
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