王子様を見つけて?



彼は、あたしの手からストラップを奪い取ると、手先を器用に使って直してくれているようだった。



「……あの」

「何」




こちらをチラリとも見ず、尖った返事を返す。


その態度に思わず、言葉を飲み込んだ。




「これ、直んなくていいの?」



「え…いやー…」


「なら、黙っててよ」




こんな廊下の真ん中でしなくても───




こんなあたしなりの気配りさえも、発言できる権利を奪われてしまった。


チロチロ人が見ている。





「はい。直った」

「わー。ありがとうございます」



彼からもらったうさぎは完璧に修正されていた。



ゆるみなんかあったのか?

というくらい、ちゃんと直っていた。



「本当、ありがとうございますっ」


「礼なんかいらねぇし。元はといえば、俺がぶつかったせいだしな」



そういって彼はさらさらの髪をかきあげた。




どきん




何か

変な音がした。





「悪かったな。」


「え……いえー、こちらこそです」


「タメなのに敬語かよ」


ははっと彼は白い歯を見せて笑った。







どっきーーーーーーーんっ!












完璧に

堕ちてしまった。







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