王子様を見つけて?
一目惚れ
入学式───
は、もう終わっていた。
「えっ、いつの間に!?」
隣で羽奈ちゃんがため息を吐いている。
「あんた、校長の話しあんな長かったのに、よくいつの間に!?なんて言えるよね」
廊下を歩きながら肩を落とした。
そんな彼女を見て、あたしも自分自身を驚く。
「ごめん。ちょっとある人を探してたら時間経ってて」
ちょっとある人というのは、
もちろん──あの人。
ツンデレ王子。
どこのクラスかさえ知れればいいや、と思っていたあたしだけど、まったくといっていいほど見つけだすことが出来ない。
クラスさえって考えていたけど、クラスだけでも、にかわってしまった。
羽奈ちゃんにはさっき言っておいた。
一目惚れのことを。
羽奈ちゃんはいかにも興味なさそうに
「そぉ」
と、言うだけで終わったけど。
ちょたと悲しかったことは、言わないでおいて…─。
「羽奈ちゃーーん。もっかい会いたいよー!」
「ウチにすがりつくなっ」
本気で泣き叫んでやると思いながら、抱きついた羽奈ちゃんの体から離れる。
そりゃ確かにクラス数は、多いけどさ。
「願っとけば会えるかもしれないじゃん?」
「あたし教室はいるね」
「人の話を聞いてーー!」
D組の前まで来た羽奈ちゃんはあたしを置いて、教室の中へスタスタ入っていった。
あたしの叫び声を聞いた羽奈ちゃんは、教室の中からこちらを指差して笑っている。
こんちくしょー。