王子様を見つけて?
意味わかった?と、小首を傾げる彼は目を少し細めた。
「意味わかんない…」
「分かろうとしてねぇだろが!」
「してるもん!でもわかんないんです!」
「あ゛ーもう。とにかく俺に告んな」
わかったなっ!と、強くあたしに言い捨てる。
わかんないっ!言い返そうとしたその次には、もうすでに彼はそそくさに立ち去ったあとで。
ただ、じーっと彼の背中を見つめるあたし。
彼がG組の教室に入っていくのが見え、あの人はG組なんだと、1つ知れた。
……………。
彼と話した余韻が残ったまま、あたしも廊下をゆっくり歩いて、A組のドアを開ける。
最後はあんなきつく言われたけど、内心そんなことより話せたことが強烈に印象強い。
別れ方は、イラッとしそうか雰囲気だけど、彼はシカトしないっていってくれた。
感謝しないといけない相手に、反感を買うような嫌な人間に、親から育ててもらった覚えはない。
だから今はいい気持ちを必死で保つのみ。
気分がふわふわしつつも、足をちゃんと地に着け、自分の席に着いた。
「心結ちゃん、心結ちゃん」
隣の席から比呂の声が聞こえて、携帯を開こうとした手を止める。
「ん?何?」
「さっき誰と話してた?」
身体ごとこちらを向いて、興味津々の顔であたしの顔を覗き込んだ。
一瞬何のことか分からず、聞き返すと
「何言っちゃってんの!さっき輝(ひかる)と話してたじゃん?」
──────ひかる…?