王子様を見つけて?
「嘘ー!心結ちゃんって輝のこと、好きなっちゃったんだー!」
「ふ、普通そんなこと大声で言わないからっ!」
「大丈夫って!誰も聞いてないし」
「いや、誰かは聞いてるはずだか…」
「えーっ!!心結の好きな人って輝なの?」
あたしは素早く比呂を睨んだ。
後方から聞こえた栞の声から比呂の所為の重大さが身に染みる。
だけど、聞いていたのが栞でよかった。
後々栞や羽奈ちゃんには言うつもりだったしね。
「心結が言ってた一目惚れの相手ってのが、輝ってことだよね?」
ちょっと興奮気味に、あたしに質問をしまくる栞。
比呂はごめんと平謝りを続けていた。
そんな比呂を横目で、何こいつ。気持ち悪ー。と吐き捨てる栞に掛ける言葉を失う。
比呂………。
そんな同情の気持ちだけ沸き上がってきた。
「ねぇ、心結。そうなんでしょ?」
「えっ……ああ、そうだよ」
「こいつは、知ってんの?」
親指で乱暴に比呂を指差す栞。
比呂はその栞の親指にかみつこうと身を乗り出していた。
「きもいから」
冷たい栞の言葉に比呂は屁ともしない態度で、話を進めた。
「俺が心結ちゃんに聞いたんだから。知ってんに決まってるからー」
「あんたに聞いてないっ!」
「……し、栞…」