王子様を見つけて?



あまりにも無慈悲な態度に、あたしはいてもたってもいられない。


「比呂が可哀想だよ」


「平気だよ。こいつ強いし」


「そ、そーなんだ……」


「えっ?俺、強い?」






比呂が強い理由がなんとなく分かるかも。


強いっていうか、天然?

…だから、比呂に同情は必要ないみたいだね。










───それから、時間があったから2人に、その輝くんのことを聞いた。




藤下輝(ふじしたひかる)

西中出身。

中学のとき、サッカー部にはいったけど、先輩からの僻みが原因で、そのあとは何の部活にも入ってないらしい。




「輝は、なんでもできてたよね」


栞が比呂に同意を求める。

その光景に、ちょっとびっくりしたけど、あえて口には出さない。



「かなり出来てた!あいつ1年なのにすぐスタメン入りでさ」


「そうそう。しかも、あのルックスでしょ?女の子にモテモテだったー!女顔ってとこが、逆に騒がれてたよ」


「へぇー…サッカー部だったんだ」




サッカーしてる輝くんの姿を想像してみる。





「スタメンもってくし、女の子ももってくし…。先輩から嫌がらせ受けんのも分かるよねー」


「輝もあの性格だし、辞めるの目に見えてた感じだったよ」




比呂と栞が口を合わせて、輝くんの過去話を楽しそうに話す。


よく分からないけど、運動神経と、女の子ウケは、すごくいいみたいだ。






< 28 / 72 >

この作品をシェア

pagetop