王子様を見つけて?
あまりにも無慈悲な態度に、あたしはいてもたってもいられない。
「比呂が可哀想だよ」
「平気だよ。こいつ強いし」
「そ、そーなんだ……」
「えっ?俺、強い?」
比呂が強い理由がなんとなく分かるかも。
強いっていうか、天然?
…だから、比呂に同情は必要ないみたいだね。
───それから、時間があったから2人に、その輝くんのことを聞いた。
藤下輝(ふじしたひかる)
西中出身。
中学のとき、サッカー部にはいったけど、先輩からの僻みが原因で、そのあとは何の部活にも入ってないらしい。
「輝は、なんでもできてたよね」
栞が比呂に同意を求める。
その光景に、ちょっとびっくりしたけど、あえて口には出さない。
「かなり出来てた!あいつ1年なのにすぐスタメン入りでさ」
「そうそう。しかも、あのルックスでしょ?女の子にモテモテだったー!女顔ってとこが、逆に騒がれてたよ」
「へぇー…サッカー部だったんだ」
サッカーしてる輝くんの姿を想像してみる。
「スタメンもってくし、女の子ももってくし…。先輩から嫌がらせ受けんのも分かるよねー」
「輝もあの性格だし、辞めるの目に見えてた感じだったよ」
比呂と栞が口を合わせて、輝くんの過去話を楽しそうに話す。
よく分からないけど、運動神経と、女の子ウケは、すごくいいみたいだ。