王子様を見つけて?










「え?」

「……………え?」





遅れて声を出した輝くんは、慌てた様子で手を引き戻した。


そして、引っ込めた手と逆の手で口元を覆う。


指の隙間から見えた輝くんの顔は、すっごく赤らんでいて………。






「う、そ………」







自分の目を疑った。






「今、輝くん、握手してくれようとした?」


「ばっ…!誰がっ」


「嘘みたい。輝くん、やーさーしいっ!」


「お前、何手ぇ引っ込めてんだよっ!」


「いやだって、手に汗かいちゃったから…拭いてから握手しようって」


「っ!この野郎……………いつか殺す」







そんなこといわれても、赤い顔して言われたんじゃ全然怖くも何ともない。


どっかの小さい子供が怒ってるみたいで、逆に微笑ましかった。







「何笑ってんだよ」


「ううん。なんか、意外と輝くんって怖くないんだなって思って」

「は?お前ドアの間に指挟まれてえのか?」


「ああっ分かるっ!それすっごく痛いよねっ!あたし、それ何回も経験したー」


「……………。」






黙り込んだ輝くんの顔を見上げると、眉間にしわを寄せる輝くんがいた。


先程まであった頬の紅潮は全くなくて、それと引き替えにむくれたような表情。







原因は分からない。


けど、







「と、とりあえず………よろしくお願いします」







< 43 / 72 >

この作品をシェア

pagetop