王子様を見つけて?
「え?」
「……………え?」
遅れて声を出した輝くんは、慌てた様子で手を引き戻した。
そして、引っ込めた手と逆の手で口元を覆う。
指の隙間から見えた輝くんの顔は、すっごく赤らんでいて………。
「う、そ………」
自分の目を疑った。
「今、輝くん、握手してくれようとした?」
「ばっ…!誰がっ」
「嘘みたい。輝くん、やーさーしいっ!」
「お前、何手ぇ引っ込めてんだよっ!」
「いやだって、手に汗かいちゃったから…拭いてから握手しようって」
「っ!この野郎……………いつか殺す」
そんなこといわれても、赤い顔して言われたんじゃ全然怖くも何ともない。
どっかの小さい子供が怒ってるみたいで、逆に微笑ましかった。
「何笑ってんだよ」
「ううん。なんか、意外と輝くんって怖くないんだなって思って」
「は?お前ドアの間に指挟まれてえのか?」
「ああっ分かるっ!それすっごく痛いよねっ!あたし、それ何回も経験したー」
「……………。」
黙り込んだ輝くんの顔を見上げると、眉間にしわを寄せる輝くんがいた。
先程まであった頬の紅潮は全くなくて、それと引き替えにむくれたような表情。
原因は分からない。
けど、
「と、とりあえず………よろしくお願いします」