王子様を見つけて?
そのままエレベーターの方へ歩いていった。
ふわふわの髪の毛が歩くたびに揺れて、あたしの気持ちもふわふわなしてるような気持ちになった。
輝くんの背中を見つめたまま動けなくなる。
呼吸を忘れそうになる。
───彼女になったら呼んでやるよ
─────“心結”って
心臓、壊れちゃうかと思った。
ドクドクドクって廊下の突き当たりで輝くんが見えなくなった今でもうるさく鳴り響き続ける。
彼女にもなってないのに、あたしの名前言っちゃったよ、輝くん。
反則だった。
今のはあり得ない反則だよ。
あの悪戯な笑顔も、かっこいい立ち姿も、耳の奥に残り声も……。
輝くんの全てが反則なの。
あたし、何にも構えてなかったんだからあ………。
もう………
あたしは力無しに、熱くなる顔を押さえて部屋の中へ戻った。