王子様を見つけて?
*第2章*
心変わり
今日から普通の授業が始まった。
新品の教科書で授業を受けるのはとても新鮮でいいんだけど。
「なあなあ心結ちゃん」
「なに?」
「消しゴム貸して?」
「…………はい」
「さんきゅー」
「ねぇ心結ちゃん」
「今度は何?」
「あとでノート見せてよ」
「なんで?今急いで、黒板写しちゃえばいいじゃん?」
「いや、俺って目ぇ悪いから。頼むっ!」
「はいはい。後でね」
「まじ?よっしゃ!」
って無駄に比呂が話し掛けてくる。
高校生活初めての授業なんだか、今日くらい真面目に受けようかなって思ってるあたしに対して
暇さえあればシャーペンでつんつん肘をつついてみたり、とんとんってこちらの机をたたいてみたり。
こっちは比呂のおかげで勉強も手に付かないよ。
もともと集中力ないから、勉強とかすぐ投げ出しちゃうのに。
諦めたっ。
もういいっ!
「え、何?心結ちゃん勉強しないの?!」
机に突っ伏したあたしを見て、慌てたように尋ねた比呂。
誰のせいだと思っての、と心の中で呟きながら、「なんかやる気失せたから」と、笑顔で答える。