王子様を見つけて?








─────輝がいってたもん?






「えええええ!!嘘でしょ!?」






信じられないことに思わず立ち上がる。


ガタンという音と共に、教室中が静かに白けたのが感じ取られた。






「───…あ、れ?」


「當間……初日からなにやらかしてんじゃー!!」


「ひぇーーん!ごめんなさーい!」






クラスのみんなの視線が笑ってる。



ブスブス突き刺さる視線じゃなくて安心したけど、すっごい恥ずかしい。




しかも銀の授業。


あたしの席は、唾飛ばされなくていい位置だけど、今回はここまで唾が飛んできそうな勢いで怒鳴られてしまった。





最悪。

…………比呂が悪いんですー!






「心結、座りなさい」


後ろから聞こえた栞の声で、呆然とするあたしはようやく腰を下ろした。






「くくく。どんまーい♪」


「比呂のバカぁ」





拗ねながら比呂を睨む。

声を殺して笑う比呂にわずかながらも、嫌悪感が生まれた。






「はははっ。俺がやっぱ悪い?」

「さぁね。もう知らないっ!」


「ぶふっ…。笑えるね、心結ちゃんって」


「ふんっ」


「お詫びにいいこと教えてあげるよ」


「いいこと?」


「あのね………」












“お昼、輝はいつも屋上で食うんだ”












「接近したいなら、屋上いくべしだね」












初めて比呂が神様に見えた。









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