王子様を見つけて?





キーンコーンカーンコーン─…




昼休みを知らせるチャイムが鳴り響く真昼時。


お弁当片手に、現在あたしは屋上へと続く階段を必死で駆け上がっている途中。






重い扉を開けると、青々とした広い空が晴れ渡っていた。


気持ち良いくらいの風もあって、まさに春って感じ。





さて、早速お目当ての輝くんに会いにいこうと辺りを見渡す。


だけど肝心の輝くんの姿がどこにもなくて。




「あっれー……?」





おかしいな、と頭をかく。


比呂が言うにはこの時間帯にはもういるはずなんだけど………。



キョロキョロ首を動かすだけで、輝くんはどこにもいなかった。






少し肩を落として、日陰になっている壁際でお弁当を広げる。





先に食べちゃおうかな……。





本当は輝くんと一緒に食べたかったけど、来ないんなら先に食べるしかないでしょ。


お腹もすいたし。






ということで少し後ろめたさも感じながら、箸をすすめていった。





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