王子様を見つけて?




「え、お前…ここで飯食おうとか、そんなこと考えて……?」


「うん!そう!今お弁当食べようとしてたとこ」


「まじで?」





苦笑いというより、笑いさえしていない輝くん。


あたしが持っているおにぎりを目にするなり、ため息を吐いた。





「あの……」


「何」


「一緒にご飯、食べてもいいかな?」






今までのあたしの勢いはどこへやら?


すっかり機嫌を悪くした輝くんを目の前に、はっちゃけながら強引に、ご飯、一緒にするなんて
あたしもそこまで空気読めない人間じゃない。



恐る恐る輝くんの顔色を確認しつつ、そう打ち明けた。







「俺と?」


「うん」


「ここで?」


「うん…」






頭をぽりぽり掻き出した。


え、まさか予想外の断られる展開みたいな?





最悪の自体直面寸前に、あたしの心臓はバクバク脈を打つ。


告白の返事もらってるみたい。





……ってそんなこと考える余裕ないんだけど。






「俺と一緒がいい?」


「うん。輝くんと一緒に食べたい…」







意を決して恥ずかしい台詞を口にした。



めっちゃ恥ずかしい。

輝くんを前にすごい恥ずかしい。



だけど、このくらい言わないと輝くんは断ってしまうんじゃないかって。


そう思うと、ぺらっと口から出ちゃった。






後から恥ずかしがるなら最初から言わなきゃいいのにね。


と自分を自嘲し、改めてゆっくり輝くんの顔を覗き込んだ。




羞恥心はあるものの、頑張っていった言葉を受けて輝くんがどう反応するのか
1番気になるところ。


迷わず輝くんの正面から見上げる





と……






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